どんな人から来て居るか? その出会いの場所は米国東部で時期的に3つに分れます。
第一Gは私が1957,8年に東部の企業に研修に行った時の仲間でほぼ同年輩。米国人が大半でしたが、50年後に続いているのは英、仏、伊から来ていた3人。当時は皆が電気の技術者だった訳だが、最後まで同じ職業だったのは私一人です。
第二Gは70年代に北米で働いていた時の知己で、製造業の技術者や契約関係が主。他に事務所の秘書が居るが、当時二十歳頃の彼女はその後結婚、離婚を経て一人で息子を大学まで出しました。
第三Gは83年に数ヶ月の研修に行った折りの同級で、当時50歳前後で企業経験も充分。この中の米・加の何人かとカードを交換しています。仕事は様々だが皆産業界で金融は無し。
さてX'mas Cardですが、私の様な少数ケースでも中身に地域色あり、先ず数十年もやり取りすると、家族の様子や出来事などを付記する様になるが、ここ近年の傾向で米国からのは綺麗な紙にその一年を詳細に記述してきます。その内容は先方夫婦と子供の一部迄は判りますが、その先はもう私の知らない話が大半。これは同じプリントを沢山の人に送るから色んな相手に対応する為でしょうが、一方これが何十通も来たら読むのが大変だろうなとも思います。
もう一つの特徴は、全部ではないにせよ、とても素晴らしい様子で記述されている事。例えば、"今年も娘のローラにとり素晴らしい年でした。彼女の仕事はとても評価され,,"とか、"9月には息子のダグの家に皆が各地から集って、皆良くやっていて、それは賑やかで,," そしてその年の海外旅行が語られます。始めはX'mas位は悪い話は避けるのが礼儀かと思ったが、今はその通りに結構だと拝見しています。
一方欧州勢はこうした印刷物は使わないで、カードの余白か別紙に色々書いて来てこれは亭主の自筆です。クセのある字を苦労して読むが、何処か悪かったとか、息子が突然結婚すると言って来て,,,驚いたとか、それなりに人生の陰翳が入っている事が多い感じです。
それにしても米国人、特に同年輩のは毎年海外ツアーや、各地の子供たちの処とかよく歩き回っています。殆ど前と同じ住所で、あの大きな家に夫婦二人で冬は暖房費も嵩むだろう、夏はあんなに出歩いて庭の手入れはどうしているのとか、日本でマンション住まいの私が余計な心配をして居ます。その中で80歳過ぎた人から、もう歳だし(実に優雅な表現で)遠くに行くのは控える様にしたとあり、何かホットした。この人は以前IEEEのIndustry SocietyのPresidentをされた方で、ご夫婦とも実に立派な人柄で尊敬して居ます。
欧州勢は余り長期間出歩かず、子供達の処を廻るとか近くを旅する様だ。ただ近くでも世界遺産や美術館が多くて退屈しない筈。凄いのはパリ近郊の男で、昨年の孫の数が16人で更に増加予定と言って来た。ロンドン近郊のは親から継いだ2世紀ほど経つ元旅籠の家に住んで移る気は無い様で、泊めて貰ったこともあるが快適でした。ロンドン、ミラノの二人は海から遠いが最近までヨットを持っていてこの趣味はリッチ。
殆どが働いている時からの家に住んで居ますが、退職を機に米東部(冬寒い)から南のMyertle Beachに移り住んでGOLF三昧の人が一人居るが、近年カードの添え書きが奥さんの字になったので、余り気候の良い所もまた問題かなとも思っています。また子供とは近くでも別居です。
この辺がX'mas card から窺い知る退職後の様子です。ただ母数が少なく、出会った時の年齢も20、40、50台と違うと付き合いの様子も変り、これで一般傾向を話すことは無いと思います。 さらに米国発の金融危機が世界中を駆け巡って居る現在、この原稿作成時(12月上旬)今年のCardは来て居ませんが、社会情勢が変って行くので色々な影響も出て来るでしょう。
しかし長い時間軸での話なので、その時々の情勢は別として昨年までの様子として紹介して置きます。
残念な思い出は、1968年にアルゼンチンのMar del Plataで開催されたCCITTの総会に出席した時に知り合った女子大学生と長年カードの交換をしていたが、ある時、分厚い手紙を受け取った。二人のお嬢さんと一人の息子さんがいて、長女が18歳になり英語が出来るようになったので、母親のスペイン語を英語に翻訳した近況報告と写真が同封されていた。私達が訪れた喫茶店も現在は近代化のため無くなり、すっかり立派な都会になっていた。これからより詳しい文通をしようと思っていたら当地域で洪水があり住所を変わったという知らせを最後に消息不明となってしまった。アルゼンチンについては仕事を含めて深い
思い出があるので、機会を見て報告したいと思っている。
(注)CCITTは国際電信電話諮問委員会のフランス語のイニシャル。
通常スイスのジュネーブで開催し4年に一度の総会は海外で開催された。