2009年01月19日

音楽の楽しみ/大野 栄一

1.SPレコードの思い出
 手回し蓄音機の前で一心に「玩具の交響曲」に聴き入っている幼少年、今から70年も前の私の姿である。玩具や道具、鳥や犬が出てくる賑やかで愉快な音楽が耳に響いてくる。しかし、戦争が始まり、我が家も昭和20年7月の岐阜大空襲で焼失してしまい、音楽を聴く楽しみも奪われてしまった。幸い一部のレコードは疎開していて生き残り、戦後レコード・コンサートで引っ張り凧となり、私は父の助手としてレコード盤を抱えて毎晩のように近くの小学校や公民館に出向いた。この時にレコードを聴きながら作曲者、曲名などを調べて整理したことがクラッシク音楽好きになった原点であった。
2.フルートへの憧れと実践
 そこで巡り合った曲の1つがバッハの管弦楽組曲第2番(ロ短調) である。あの優雅で心に沁み込むフルートを何時か自分で奏でることが出来たらと夢見たものである。プラスチック製の横笛を経て、フルートを手にしたのはそれから10年ほど経った就職2年目の暮れで、早速音楽通の知人の紹介で個人レッスンを頼み、基礎から手ほどきを受けた。1年程して少し音が出るようになり、素人仲間でモーツァルトの4重奏などの合奏を楽しんだりもしたが、その頃には仕事が忙しくなり、永い休眠状態に入っていた。
 1995年に現役を引退したのを機にフルートを学び直そうと思い立ち、NHK青山文化センターで見つけた元N響で国立音大の宮本明恭教授のレッスンに通い始めた。ここで改めて基礎からの指導を受け、腕を磨いた。受講生による合奏もあり、楽しみが大きく広がった。毎年夏には信州須坂郊外の山田牧場で音大生主体の合宿練習にも参加し、プロの卵たちの厳しい訓練とそれに耐える熱意と技量に刺激を受けた。NHKの受講生による演奏会も毎年開かれ、ソロや合奏で舞台に立ち若返った気分を味わっている。
3.オーケストラへの挑戦
 1997年にJR恵比寿駅に読売文化センターが誕生し、オーケストラ団員募集のチラシを見て夢が拡大した。フルートだけの合奏と違って、多種多様な楽器から出る豊かな音の洪水に囲まれながら、難曲と苦闘している。一番の問題は長い休止の後の始点が分からなくなってしまうことである。しかし、最初に新しい楽譜が配られた時にはとても無理と思った曲も、2週間、3週間と練習する内に何とか指が動くようになり、指揮者の顔が見えるようになってくると、曲の流れに乗って響き合う音の醍醐味を堪能できるようになる。
「えびすエスプラナードオーケストラ」演奏風景
           (2008年5月17日、大田区民会館) 
 音楽の楽しみ(大野).jpg
 ここでは、若さあふれる野村秀樹先生の指導の下、年1回の大田区民プラザでの演奏会で大曲に挑戦している。2001年以来の演奏曲目は、ベートーベン3、5、7、8番、ブラームス4番、シューベルト未完成、ドボルザーク8番、9番(新世界)、チャイコフスキー5番で、今年はブラームス3番の練習に取り組んでいる。
 レコードや演奏会で聴く事から始まった音楽の楽しみが、自ら演奏する楽しみに発展し、音楽を創り出す喜びを味わっている。よい指導者と新しい仲間達に恵まれて、10年以上続けてこられたお蔭と感謝している次第である。
posted by でんきけい at 01:00| Comment(3) | 大野レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ハイドンの「おもちゃの交響曲」、初めて聴いたのは中学か高校か忘れたけど、ものすごく懐かしい。大人になってからは多分聴いていないと思うのでウン十年ぶりに聴いてみたい。それにしてもこの曲が70年前の貴兄の愛聴曲だったとは!! 環境の影響があったとは言え恐れ入りました。
バッハの組曲2番も大変懐かしい。確か新井君もこの曲が好きだったはず〜〜彼はどうしているのかな〜〜
所で、我がクラスにオーケストラメンバーを務めるクラシック音楽家が
2人もいるというのは頼もしい限り。健康に気をつけて頑張って下さい。
Posted by 大曲 恒雄 at 2009年01月19日 10:18
「おもちゃの交響曲」をネットで聴いてみようと検索していたら意外な事実を発見、何と作曲者はハイドンではなかった!
インターネット百科事典「ウィキペディア」によると、18世紀からハイドンの作品ということになっていたが当初から(?)マーク付きで、真の作曲者探しの話がいろいろあったらしい。
1951年にモーツアルトの父レオポルトの作曲とされる管弦楽曲の楽譜が発見され、その一部が「おもちゃの交響曲」と同一であることが判明。このことから今日の音楽解説書ではレオポルトの作品ということが定着している。所が1992年、チロル地方シュタムス修道院の音楽蔵書の中から「おもちゃの交響曲」の写譜が見つかり、それにはエトムント・アンゲラーが1770年頃に作曲したと記されていたそうで、その後これを覆すだけの説は出ていないとのこと。
なお、下記のURLで“試聴”できるので興味のある方はアクセスされたい。大野少年の愛聴盤とは随分違うと思うが、雰囲気を味わうことはできる。
 http://www.tei3roh.com/toyshinphony.htm
Posted by 大曲 恒雄 at 2009年01月19日 15:29
早速に大曲兄からの2回のコメント有難うございます。私もこれを書く時に作曲者のことが気になってWikipediaを見ました。1951年、1991年と比較的最近になって作曲者が解明されたと言うことに驚きました。日本でも古いお寺には過去帳があるのですが、欧州では教会や修道院ですね。
記載のURLで視聴することも出来て有難うございました。昔聴いたレコードでは、最後に賑やかな犬の鳴き声が入っていたと記憶しています。
Posted by 大野栄一 at 2009年01月19日 22:45
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