2009年06月15日

時差克服法/大野 栄一

 同期の皆さんは現役時代に海外で活躍された人も多く、それぞれ時差克服法をお持ちと思うが、私は最近になってIEEE History Committee の仕事に引き込まれ、海外への出張が多くなっている。特に、時差が10時間以上で昼夜逆の米国東部への短期出張は、負担が大きく、時差対策が重要となる。そこで私の対応策を紹介させて頂きたい。

 私の時差克服の第一原則は、「搭乗したら自分の腕時計を到着地の時刻に合わせ、日頃その時間を過ごしている通りの行動を行うこと。」である。上空では地上の時間には拘束されないから、機内は最も有効な時間差調整の場所であり、これを利用することが基本である。問題は、機内サービスが到着するまで出発点の時刻をベースで行われることである。席に就いたらスチュワーデスに宣言して、食事は断り、眼帯と耳栓を貰っておく必要がある。
誘惑に乗って、美味しい機内食とワインを楽しんでしまうのは、時差調整の原則に反する行為で、後々まで苦しむことになる。時差の苦痛を和らげたいのであれば、到着地の時間に従い、ディナーを抜いて早く眠りにつくことである。その結果、到着前には空腹を感じ、現地時間の朝食をたっぷり食べ、元気に空港に降り立つことが出来る。さもないと、到着地の扉を開けた瞬間に厳しいTime Shock を見舞われることになる。

 実は、この対処方法は私の発明ではない。現役時代には時差に苦しめられ、昼間に時差画像1.jpg襲ってくる睡魔と闘っていたのであるが、その頃米国の空港で新書版の “Overcoming Jet Lag” を見つけた。既に読んで実行されている方も多いかと思うが、参考までに表紙・裏表紙のコピーを添付した。この書は、高齢で大統領になったレーガンが職務上の必要から専門家に有効な時差への対処法を研究させた成果が纏められたもので、時差別に3段階に分けて食事や睡眠について詳しい処方箋が示されている。NY行きのように東行き時差11、12時間の場合は、以下に要点を示すような食事への詳細な注意が述べられている。
 第1段階:出発の3日前から、朝昼は高蛋白、夜は高炭水化物主体の食事。
 第2段階:出発日は、高蛋白の朝食を摂り、腕時計を到着地に合わせ、後は絶食。
 第3段階:到着日は、高蛋白の朝食、昼食と高炭水化物の夕食をたっぷり食べる。
この本では、この他にコーヒーの飲み方や時間まで細かく指定されている。

時差画像2.jpg

 この処方箋は、出発間際まで国内での仕事に縛られていた身には、実行不可能と放置していたが、その後必要に迫られて読み直し、実際上は出発前日の夜から、当日、特に機上での過ごし方が最も重要と気付き、自分流に修正したのが最初に述べた第一原則である。これを実施し始めてからは、時差に悩まされることはほぼ消滅した。

 最近、私の出かけるIEEE History Committee は、到着当日(通常土曜)の夜に夕食会があり、翌朝は8時から終日委員会である。ここでは日本人は私1人なので、英語には悩まされ通しであるが、この対策のお陰で時差には煩わされることなく、何とか対応している。月曜は別の所に寄り、火曜の朝には帰路に付くのが定例のコースとなっている。

 帰途も時差克服の原則に従って機内での時間を過ごし、帰宅後は日本式風呂に入り、日本食を味わって、熟睡すれば、翌日からは通常の生活に戻ることが出来る。

 先日のブログで武田君がチェルノブイリ対策でご活躍されていることを知ったが、短期日での欧州往復は、時差調整の点でもより厳しい状況に違いない。仕事でも、趣味でも、地球の裏側に近い所に出かけるのは大変だが、少しでも負担を軽く出来る方法としてお役に立てばと紹介した次第である。航空会社はこの考えに基いた時差克服サービスプログラムや到着地時間サービス席を設けるべきではないか?
posted by でんきけい at 02:00| Comment(3) | 大野レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
もう30-40年昔の話でしょうか。米国からバンクーバー経由帰国の途中隣りに座ったのがカナダのお医者さんでした。話をしていると時差ぼけの話になりました。ここでこれと全く同じ話を聞かされました。つまり出発前に現地時間で食事をしろと言うのです。彼はJet Lag Dietと言う本を書いたとも言っていましたからもしかするとこの本の著者の一人だったのかもしれませんね。
時差ぼけは若いときには一晩寝ればけろりと直ってしまい何でもなかったのですが年をとるに従ってひどくなり3日経ってもひどいときには1週間経ってもすっきりせず弱っていました。Jet Lag Dietは理屈は判っていてもいざ実行となると一大決心と実行力がなければ出来ぬ事は大野さんご自身がご指摘の通りです。私の場合はそれだけの実行力がなく結局医者に行って睡眠薬を貰って対処するしかありませんでした。
特に最近は時差ぼけでなくても夜寝付きが悪くなり医者に相談してみると加齢性の不眠症と言われました。最近の睡眠薬は昔と違って副作用はなく安全だから無理に頑張らずちゃんと薬を飲んできちんと寝た方が良いよと言われ結局前と同じ薬を今でも毎日飲み続ける羽目になりました。
時差ぼけは私の様に年と共にひどくなる人と逆に全く問題なくなる人の二種類があるようです。私は残念ながら前者の様で一生このお薬に頼らざるを得ないのかも知れません。
Posted by 山崎 映一 at 2009年06月15日 19:45
時差ぼけは若い頃は全く気になりませんでしたが、中年になると年々回復が遅くなりました。私は寝付きは良いので、欧州へ行く時は良いのですが、北米へ行く時は早く眼が覚めて、昼間に眠くなります。定年後はマイペースの旅行をするので、回復が遅くても気になりませんが、家内が10年位前にセイコー製のデュアル型腕時計(現在は製造中止)を二つ購入して、2人でそれぞれ旅行に使いました。上の時計を現地時間に、下の時計を日本時間に合わせておくと大変便利です。出張中の時差ぼけの大敵は、折角眠り込んでいる最中に、本社の人事や経理から、些細なことで電話が掛かることでした。私の催眠剤は囲碁の本で、読んでいる内に眠ってしまいます。時差以上に大変なのが、南北でした。欧州出張後、南米に出張すると、その時は元気なのですが、5月頃に思わぬ風邪を引いて中々回復しないのです。季節のリズムが狂うようです。
Posted by 大橋康隆 at 2009年06月15日 22:27
時差ボケ対処法の本があるとは知りませんでした。面白いだけでなく、役に立つ情報を有難う御座います。
 実は、また例の仕事で、先週はロンドンでした。月曜(8日)に成田を発ち、金曜(12日)に帰国したところでしたので、疲れた頭で、大野君のこの記事を興味深く読みました。
 ところで、米国に行く場合(東回り)に比べて、ヨーロッパに行く場合(西回り)の方が、時差ボケは軽く、ずっとらくです。
 僕は、朝6時頃軽い食事をして成田に行き、11時半過ぎに離陸するので、最初の機内食(dinner)が出るのは昼過ぎとなるので、丁度タイミングよく空腹となっていて、これはどうしても食べてしまいます。しかし、ロンドン着陸は、現地時間の午後3時過ぎで、ホテルに入るのは夕方になりますから、着陸まえの食事は断ることにしています。ホテルで荷解きをしてから、近くのパブに行き、ゆっくりビタを飲んでから夕食を食べることにしています。
 会議は、翌日の朝からですから、問題は、その夜、十分に眠れるか否かで、僕は、就眠薬を使って強制的に眠ることにしています。これだと、時差調整を一夜でやってしまえるので、それほど苦になりません。これは、西回りだから出来ることだと思います。
 しかし、最近は、こうした強制的時差調整による後遺症(?)による疲労が溜まって、それを解消するのに、帰国後数日から1週間もかかります。これを書いている現在も、まだ、疲労回復中です。
 もうひとつの問題は、何といっても、片道12時間という飛行時間の長さで、妙な疲労感を感じますが、これは仕方ないかなと思っています。
 いずれにせよ、時差の大きい飛行機の長旅はよくないので、我々の歳になったら、止めるべきです。これは寿命を縮めているようなものだと思っています。
 しかし、それをやめて、寿命を延ばしたところで、何か役に立つことでもするのかと訊かれれば、答えに窮するばかりで、やはり、「人間万事塞翁が馬!」(この言葉は、学生時代に、松本で、三井君のお母さんから教えられ、その後、僕の座右の銘!?)ということでしょうか。
Posted by 武田充司 at 2009年06月15日 22:27
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