2014年07月01日

「健康」とは?/大曲 恒雄

(1)4月に日本人間ドック学会と健康保険組合連合会から発表された健康診断の新基準が大きな波紋を呼んでいる。
この新基準は、人間ドック受診者約150万人のビッグデータの中から一定の条件に基づいた「超健康人」1万人超の検査値を抽出、それをベースに各項目の基準範囲を求める共同研究の結果出したもの。結果は、各関係学会が設定してきた従来の基準値と比べて全般的に緩めとなっている。

幾つかの例を下の表に示す。


                従来の基準値    新しい基準値    75〜79歳男性
           (*1)         (*1)       向けの新しい
                                   基準値(*2) 


・最高血圧     129         147           167

・総コレステ
  ロール       199         254(男性)

・悪玉コレステ
  ロール        119         178(〃)        174 

・空腹時
  血糖値        99         114(〃)        114

・HbA1c         5.5         6.03(〃)        6.3
 (ヘモグロ
  ビンA1c)

・尿酸値        7           7.9(〃)         8.6

・γ-GTP       50           84(〃)         39


(*1) 週刊現代 2014 5/10/17による
(*2) 週刊文春 2014 6/5による

(2)しかし、人間ドックの対象者は40〜50歳代が多いため年齢別にデータを出すのが難しい。また、人間の体は当然性別や年齢によって違うので同じ基準値を全員に当てはめるのは無理があるとの批判がある。
2004年、大櫛東海大名誉教授を中心とするグループは日本総合健診医学界に所属する全国45施設から集めた約75万人分の検診結果を解析し、男女別に20歳から79歳まで5歳刻みで基準範囲を発表している(*2)。その後の約10年間フォローされているようだが、基準値の変更は発表されていない。
残念ながら80歳代は含まれていないので、最も近い75〜79歳男性の基準値を表の4列目に示した。
この場合の最高血圧は、昔言われていた「年齢+90」という常識(?)に近い。

(3)上表1列目「従来の基準値」とは別に、診療機関/病院が独自に基準値を設けてきた所もある。例えば、小生が高コレステロール症治療のために時々血液検査を受けている病院では各数値の上限がそれぞれ
・総コレステロール:220
・悪玉コレステロール:130
・空腹時血糖値:110
・HbA1c:6.2
・γ-GTP:86
などとなっていて、上表の何れの数値とも異なっている。

(4)これだけいろいろな基準値が混在すると、どこまでが健康と言えるのか、どこからがどこまでがグレイゾーンで、どこからが本当に病気なのか判らなくなってくる。
一方、医療現場や学会内部でも「新しい基準値」についての意見はいろいろ分かれているようで、新基準は無責任だと非難する人たちもいるが、従来の基準は厳しすぎたとの意見を述べる人たちもいる。
また、一石を投じた側の人間ドック学会としてもこれから5〜10年かけて追跡調査を積み重ねて行く方針とのこと。
いずれ整理・調整されてスッキリした形になるものと思われるが、それにはかなりの時間がかかりそうな感じである。
posted by でんきけい at 00:00| Comment(0) | 大曲レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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