2017年02月01日

カモイマツ/武田 充司

  初めて国外に行ったのは、アイゼンハワー政権のICAの給費留学生として、1960年の1月から11月まで、シカゴ郊外にあるアルゴンヌ国立研究所で勉強したときだった。
   その年は大統領選挙の年で、ニクソン対ケネディーの一騎打ちが史上初めてテレビ中継された。初めての外国留学で英語もおぼつかなかったが、それでもこの年の秋の両雄のテレビ討論、いわゆる、ディベート(debate)を、耳をそばだて食い入るように見ていた。そのとき、しつこく耳に残ったのは「カモイマツ」という言葉だ。

   これは台湾に面する中国大陸の沿岸にある金門島と馬祖島のことで、当時、台湾に撤退した蒋介石政権が確保していた島だ。日本語なら「キンモン・バソ」(金門・馬祖)といっているわけで、英語なら“Quemoy- Mazu”となるのだが、何しろこちらの耳が怪しいから「鴨居松」(カモイマツ)と聞こえた。

   ロンドンの地下鉄の駅に“West Kensington”というのがあるが、これを  “「ウエスト・ケンシントン」なんて発音したって通じないよ、「ウエスギケンシン」(上杉謙信)て言えばいいんだ”  なんて、昔、先輩が得意になって言っていたから、「鴨居松」だったまんざら悪くはない。

   それにしても、アメリカの大統領になろうという人が、あんな小さな島のことで口角沫を飛ばして遣り合っているのを見て、「こりゃ何事か」と思った。
  それから56年余り経った今、台湾をめぐる「ひとつの中国」論争がトランプさんによって国際政治の場に持ち出されたのを見ていると隔世の感がある。
(ICA=International Corporation Administration)
posted by でんきけい at 00:00| Comment(0) | 武田レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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