2017年08月01日

軍艦マーチと煙草の値段/武田 充司

 戦時中、あの勇ましい「軍艦マーチ」に歌詞をつけて、 “守るも、攻めるも、黒がねの・・・”と歌っていたのを思い出すが、我ら無邪気な悪ガキどもは、そこに入る前の序奏の部分にも歌詞をつけて、
“ジャンジャンじゃがいも、サツマイモ・・・”とやっていた。
  いま思い出すと可笑しくって吹き出しそうになるが、まあ、「茨城1号」、通称「イバイチ」という水っぽいサツマイモが米の代わりに配給になっていた時代だから、こんな鼻歌も出てきたのだろう。しかし、あれはサツマイモとしては「イバイチ」というより「イマイチ」だった。戦時中に開発されたらしいこの品種は収量が多いので、食糧難のあの時代には重宝がられたのだが、あれは不味かった。

  ところで、そのついでに思い出したのが、以下の替え歌である。
 “「金鵄」かがやく15銭、栄えある「光」30銭、「鵬翼」高く50銭、紀元は二千六百円・・・”(この元歌をご存知の方は、その曲に合わせて口ずさんでみて下さい!)
 これは当時の煙草の値段が高くなったことを皮肉って作られた替え歌だが、僕ら小学生のガキが、どうして、このタバコの値段の替え歌をうたっていたのか・・・。

  とにかく子供の頃のあやふやな記憶なので、思い出しついでに、紙巻煙草のこれらの値段が正しいのか調べてみた。すると、「金鵄」(キンシ:戦前の「ゴールデン・バット」の名を変えたもの)と「光」(ヒカリ)は、確かに、この値段の時期があったのだが、「鵬翼」(ホウヨク)については調べ切れなかった。しかし、元歌の曲の調子からして「50銭」(ゴジュッセン)が一番合うような気がする。
 
 そのうちに煙草も配給制になり、貴重品になった。原っぱに生えているイタドリの葉っぱを干して刻み、薄い紙で巻いて“シガレットもどき”を作って吸う人まで現れた。しかし、その紙もないから、三省堂の「コンサイス英和辞典」のページを破いて、それで乾燥イタドリの葉っぱを巻いた。なにしろ英語は「敵性言語」だから、コンサイス英和辞典のページが燃えて煙となって消えるのは、軍国日本の庶民としては誠に本懐の至りだったのかも知れない。
posted by でんきけい at 00:00| Comment(2) | 武田レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
武田兄の煙草の替え歌を読んで、当時岡山に住んでいた私の記憶に残っていた不謹慎な替え歌を思い出しました。「金鵄上がって15銭、栄えある光30銭、それより高いホウヨクは甘くて辛くて50銭、嗚呼一億のカネは減る。」軍国主義厳しき時代にこのような替え歌を覚えていたとは不思議でなりません。コンサイス英和辞典の紙が、煙草に良いという話は、先輩から聞いていました。
Posted by 大橋康隆 at 2017年08月01日 22:48
煙草の値段の替え歌、殆ど同じでも、少しづつ違った替え歌があちこちで流行っていたのですね。今と違って、人から人へと言葉によって伝えられて行く間に、いろいろ変化して行ったのでしょうか。僕の記憶もいい加減ですから、ここに書いた通りだったか怪しいものですが。
Posted by 武田充司 at 2017年08月02日 17:23
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