2017年09月01日

昔の愉快なエレベーター/武田 充司

 ロンドンのフリート・ストリートにあった会社の事務所のエレベーターは人力エレベーターだった。
  中が丸見えの四角い鉄の篭にスライドして伸縮する扉がついていた。その扉を自分で開けて鉄の篭に乗り込んだら、篭の中にぶら下がっているチェーンを自分で引くのだ。チェーンの反対側の端にはバランスをとる錘がついているから、大した力をかけなくてもチェーンを手繰ることができる。目的の階まで達したらチェーンを手繰るのを止めて、自分でドアを開けて降りればよい。
  この檻の中に閉じ込められるのが嫌な人は、脇の階段を使えばよい。そうすれば、檻に入れられたホモサピエンスがチェーンを操って上下するのを横目に見ながら目的の階に行くことができる。

 しかし、リズレイの英国原子力公社のエレベーターはもっと凄かった。
  ドアがない大きな木の箱が連なって常にゆっくり上に向かって動いていた。最上階まで行けば裏側を下って最低階まで行き、再び表に現われて上に向かって行くようにループになっていた。上の階に行きたいときには、箱が正面に来たときにフロワーから箱の中に飛び乗り、目的の階に達したら飛び降りればよい。下の階に行きたいときには、隣の下り方向に動いている箱を利用すればよい。最初はちょっと戸惑ったが、乗り降りのタイミングさえ覚えれば手軽で実に快適なシステムだった。

 50年以上も前の愉快なエレベーターのことを思い出しながら、やはり彼らは産業革命をやった張本人たちの末裔だけあって、機械との上手な付き合い方が身についているのだなあと納得した。
posted by でんきけい at 00:00| Comment(0) | 武田レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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