2019年05月16日

近頃思うこと(その42)/沢辺 栄一

  5月になっていよいよ令和の時代に入った。昭和から平成に変わった時には昭和天皇の崩御での移行のため、喪中で大変静かな移行であったが、今回は譲位と即位と言うことで、人々も、メディアも新時代への期待も含め華やかなお祝いムードで移行した。
  4月1日に新元号「令和」の発表があったが、某新聞社の4月の世論調査では新元号「令和」に対して「良いと思う」が87.0%であると報じていた。私は6.5%の「良くは思わない」方に属する一員である。字面が凛としており、響きも素晴らしいと感じている人が多いようだが、私は鈍感でそのようには感じなかった。令は冷を思い出し、硬い感じ、冷たい感じがした。私は国語に弱いせいか、令和の意味が直ぐには解らなかったので、一般の人の国語の力は凄いなと思った。発表された時に昔、冨山房で発行した詳解漢和字典で直ぐに「令」と「和」という文字を調べた。「令」の主要な意味として@法律、Aいいつけ、B命ずる、C一地方長官、Dよい、Eつかう、Fせしむ、Gたとえ が出ていた。また、「和」の意味は@やわらぐ、A和睦する、Bこたえる、調子をあわせる、C合わせたもの、合わせた数、Dやまと(日本)などが書いてあった。この二つの文字の意味をどう組合わせるのかであるが、適したものを勝手に決めればよいのであろうか。
  この元号名に対して、この令の意味の中から比較的理由として使えるものは「命ずる」、「せしむ」、「良い」であるが、「和を命ずる」、「和にせしむ」は無理やりに「和」を命ずる、「和」にさせることで日本政府の傲慢な態度が見えることになるからこの意味ではないと推測する。勿論、近隣諸国からの敵対行為に対して絶対に平和を守るという強い決意を表したと見ることもできるが、現在の日本の力ではそのようなことは不可能である。
  残る「良い」がこの元号に用いた意味であると思うが、一般には「令息」「令嬢」「令夫人」「令室」「令弟」「令姉」「令器」など他人のことを敬うことに多く使われているが、普通、人間を含めた物に付けている。勿論、「令徳」のように人間の行動の前に付ける言葉もあるようであるが、「和」の前に「令」を付けた熟語は浅学にしてこれまでに無いのではないかと思う。いずれにしても平和に種別は無いように思うが、「令和」は良い平和を願うということであろうと思う。「和」を日本と解すれば「良い日本」となるが、元号にはふさわしくないように思う。発表当初、外国からのコメントが芳しくなかったので外務省は直ぐに「令和」の公式の英語として「Beautiful Harmony(美しい調和)」と発表した。私は「Beautiful Japan」でも良いのではないかと思う。参考までに他の最近の元号の英語を列記すると、明治が「Enlightened Rule(啓蒙統治)」、大正が「Great Righteousness(偉大なる正義)」、昭和が「Bright Peace(明るい平和)」平成が「Achieving Peace(平和を達成する)」とのことである。
  この「令和」の元号名をはじめて日本の国書「万葉集」から採ったと発表されているが、これに対しても私は違和感を持っている。梅見の宴での文章の序文の中の文「初春の令月にして、気よく風和(やわ)らぎ、梅は鏡前の粉を披き、・・・」の中の文字であると説明されているが、月と風と全く関係の無いものから一字ずつ採ってきたのであり、万葉集から採ったと言えるのであろうか。二字熟語として使われている言葉なら万葉集から採ってきたといえるが、何かしっくりしない感がある。万葉集には4,500種の歌が納められているが、素人の私にはこの中にはマッチした熟語があるのではないかとも推測する。日本の古典学者への政府からの元号名依頼期間が短すぎたのではないかとも思う。序文から採ったということも時間が無くて中まで踏み込むことが出来なかったのではないかと邪推している。
  「令和」に関して書かれた最近発行された雑誌を色々見ている中で、大坂大学名誉教授で中国哲学・中国古典学研究者の加地伸行先生が中国古典の中に真にぴったりと同じ文字があることを示されている。中国古典の四書五経の「礼記」の中の月令という篇に「・・・相(首相)に命じて、徳をしき、令(法令)を和らげ、慶(賞)を行い、恵(物)を施しめ、下 兆民に及ばしむ・・・」という文章があり、この「令を和らげ」を漢字だけで記すと「令和」となる。以上のように中国古典に新元号と全く同じ文字があるが、先生は新年号の典拠と述べる気は無いとおっしゃっている。法令を和らげる、法を緩めるという意味では元号に適さないとも考えられる。
  以上、「令和」については直感的に解らなかったので、勝手な感想を記したが、国際間は無法であり、「令和」に生きる人達が真に「良い平和」、「美しい調和」を保つべく、国際社会において「良い日本」のために行動して頂くことを願っている所である。
posted by でんきけい at 00:00| Comment(0) | 沢辺レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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