2019年11月16日

近頃思うこと(その45)/沢辺 栄一

  前回のブログでオリンピック委員会(IOC)の気配りの無さを指摘したが、その後、暑さ対策の対応についても気配りの無さを露呈した。
  IOCは9月に高温と高湿度の中でのカタールのドーハで実施された陸上世界選手権の女子マラソンと競歩で、参加選手の約40%が棄権したので、あわてて東京オリンピックのマラソンと競歩を札幌に移転した。関係都市の東京、札幌に何の相談も無く、一方的に理事会の決定だとして伝達してきた。

  これまで各種の暑さ対策等に数百億円を掛けてきた東京都が怒るのは当然であり、札幌市でのマラソンの資金を都民の税金を出すことを拒否している。これまで掛けた費用の賠償を要求するとしている。また、マラソン見物に期待を掛けているコース周辺の住民やチケット購入者の不満、途惑い、突然押し付けられた札幌市のマラソンへの準備対応とその資金の捻出の課題等々色々な問題を招いている。

  オリンピック委員会はオリンピックを遣らせてやるのだと一段上の立場からトップダウン的に開催都市を軽視した発言をしている。一般に欧米人はトップダウンで決定することが多いように思うが、トップダウンは発言者に能力があり、発言を受けた立場の人が従順で、比較的能力が低い場合には効果的である。オリンピック委員会の委員はスポーツの専門家であり、スポーツ以外には比較的目が届かない狭い視野の人達で、影響を受ける人達への気配りをしない目先の決定をしたのであろう。日本人は一般的に能力がある人が多く、ものを決める場合に根回し、下相談等、事前に関係者の了解を得る行為を行い、その際、良い考えがあれば、それをピックアップすることも行なっており、その後の関係も滑らかに進めていくことができるよう配慮している。

  オリンピック委員会の今回のマラソン競技の札幌市への移転の決定は選手の暑さ対策による変更であるとは言え、もう少し遣り方があったのではないだろうか。上記のように、各種の問題を残しており、今後の成り行きを注目していきたいと思っているところである。

posted by でんきけい at 00:00| Comment(0) | 沢辺レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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