日によって経路を変えてウォーキングしていると、庭に草花を育てている家が意外に多く、丁度花の咲く季節でもあり目を楽しませてくれます。その中に、この綺麗な花はあまり見たことがないけど何という花なのだろうと思う花がありました(写真)。 | ![]() |
おだまき(苧環) |
あー これがオダマキなのか。オダマキと言えば直ぐ思い浮かぶのは、静御前が頼朝の前で舞を舞って歌ったという
しずやしず しずのをだまきくり返し 昔を今になすよしもがな
です。それから次に私が思い出すのは、何年か前に「伊勢物語」を拾い読みして読んでいたら、伊勢物語の三十二段が “しずのをだまき“という表題で、
いにしえの しずのをだまきくり返し 昔を今になすよしもがな
というそっくりな歌があるのを発見し、びっくりしたことです。
この歌の解説の最後に、
なお、この歌は「しずやしず」と初句を換えて静御前が頼朝の前で義経を偲んで白拍子の舞を舞いつつ歌った心意気を伝えて、有名である。とあり、伊勢物語の歌が元歌であることが分かります。いま伊勢物語の歌の解説を読み直してみると、
しず: 倭文。古代の織物で麻、苧(を)等の糸を青や赤に染めて横糸にし、乱れ模様に織り出したもの。「しず」が古代の織物なので「いにしえの」は「しず」の枕詞。
をだまき: 「を(苧)」は糸の材料。「たまき」は玉巻き。麻や苧を細く長く糸によりあわせて、中が空洞になるように丸く巻いたもの。糸を順々に巻き絡みつけておいて端から次第に引き出すので、糸を巻きつけ、また繰り出す意から、「くりかえし」の序詞にする。
とあって、今になってやっと歌の全体の意味が分かった次第でした。
静御前が歌った歌の方が、しず や しず しずの・・・と「しず」が「くりかえ」されてよりリズム感があるし、義経・静御前のドラマチックなエピソードともあいまって元歌より秀歌として有名になったのでしょう。
次に私の頭に浮かんだ事は、この「オダマキの花」は橋郁雄大兄の「季節の花便り」に既に紹介されているのではないだろうかという事でした。そこで今までの大兄の「季節の花便り」を遡って読み直して行きました。やっぱりありました。2010年6月16日の「5月の花便り」に:
苧環(オダマキ)(5月13日撮影、伊豆の国市・大仁瑞泉卿にて)
苧環とは、中が空洞になった糸巻きのこと。形が似ていることから、この名前がついたという。白拍子の静御前が鎌倉八幡宮で頼朝の前で舞を舞った時に歌った歌に「しづやしづ しづのおだまき 繰り返し、昔を今に なすよしもがな」があるのが、有名のようです。
(花言葉=必ず手に入れる・愚か・断固として勝つ)、花色には紫・赤・白があるようですが、各々に花言葉があるようです。(紫の花言葉=勝利への決意・捨てられた恋)(赤の花言葉=素直)(白の花言葉=あの方が気がかり)
それにしても、本歌取りをした静御前の歌のリズムは秀逸で、たしかに、こっちの方が有名になってもおかしくないですね。出藍の誉れ・・・でしょうか。